Webディレクターは、Webコンテンツの企画・制作・運用を総合的に管理・指揮する職種で、Webサイトやアプリの制作には欠かせません。近年では、フリーランス人材のWebディレクターを採用する企業も増えてきています。

しかし、フリーランスの方が自分で仕事を探し、契約を交わすのはなかなか難しいものです。そこで今回は、フリーランス人材とクライアント企業をつないでくれる「フリーランスエージェント」の選び方を紹介します。フリーランスのWebディレクターとして活躍したい方は、ぜひ参考にしてください。

フリーランスエージェントって？

フリーランスエージェントは、フリーランスの営業活動から受注までを支援・仲介してくれるサービスです。以下で、詳しい内容を見ていきましょう。

フリーランス人材のためのサービス

フリーランスエージェントは、フリーランスのスキル・実績・希望条件などをもとに、最適な案件を紹介してくれるサービスです。また、案件の条件交渉や業務委託契約手続き、納品後の請求などの事務手続きも代行してくれるため、フリーランスは自身の仕事のみに集中できます。主なサービス内容は、以下の通りです。

・スキルに合う案件の紹介
・クライアント企業との条件交渉
・業務委託契約手続きのサポート
・納品後の請求サポート
・税務サポート
・キャリアサポート

このように、フリーランスエージェントでは幅広いサービスを受けられます。利用には仲介手数料がかかりますが、その分の恩恵は十分受けられるでしょう。

フリーランスエージェントを利用する方法

フリーランスエージェントを利用するためには、サービスへの登録が必要です。これから利用したいと考えている方は、以下の流れを参考にしてみてください。

1.利用登録をする
2.スキル・実績を入力する
3.エージェントとヒアリングを行う
4.クライアント企業を紹介してもらう
5.条件交渉をする
6.契約を結ぶ
7.業務を遂行する

以上のようなステップを踏むことで、仕事を獲得できます。ただ登録するだけでは案件を紹介してもらえず、契約が取れない可能性があるため、必ず登録後にスキルや実績を入力しましょう。スキルや実績は多い方が有利になるので、持っているものは全て入力しておくのがおすすめです。

Webディレクター向けフリーランスエージェントの選び方

自分に合ったWebディレクター向けのフリーランスエージェントを選びたい方は、以下の7つのポイントをチェックすることが大切です。

①Webディレクターに特化したものがおすすめ
②案件の「質」をチェック
③仲介手数料の安いところを選ぶ
④業務スタイルに合わせて選ぶ
⑤サポート体制を確認
⑥支払日や支払いシステムをチェック
⑦利便性で選ぶ

以下で、それぞれの内容を詳しく解説します。

①Webディレクターに特化したものがおすすめ

フリーランスエージェントには、さまざまな種類がありますが、その中でもWebディレクターの案件に特化したものを選ぶのがおすすめです。多くのフリーランスエージェントがエンジニア系の案件に強みを持っているため、自分のスキルや経験を活かせるかどうかを基準に選びましょう。

どのような仕事が得意か、どのような仕事を獲得したいかを考えながら、自分に合ったフリーランスエージェントを探してみてください。Webディレクターの仕事といっても幅が広いので、自分の実力が最大限に活かせるような案件が多いところを選ぶことが大切です。

②案件の「質」をチェック

フリーランスエージェントを選ぶ際は、掲載されている案件の「質」を確認するのも重要なポイントです。どのような案件が掲載されているのか確認するのはもちろん、案件の掲載数や単価などもあわせてチェックしましょう。

単価だけを見るのではなく、案件の内容までしっかり確認し、業務内容に単価が見合っているかどうかを見る必要があります。いくら単価が高くても、それ以上に業務内容が大変であれば収入アップにはつながりません。完了までにかかる手間や期間も加味し、単価が高いと思えるかどうか確認してください。

③仲介手数料の安いところを選ぶ

Webディレクターに限らず、フリーランスエージェントを利用する際は仲介手数料がかかります。営業や業務委託契約を代行してくれる分、契約内容や案件の単価に応じた仲介手数料を支払わなければなりません。報酬から仲介手数料を引いた分が自分の収入となるため、クライアント企業と直接契約するよりも手取りが下がる傾向にあります。

そのため、フリーランスエージェントを選ぶ際は仲介手数料の安いところを選ぶのがおすすめです。ただし、仲介手数料の安いエージェントはサポート体制が整っていないケースもあるので、そのあたりも確認しながら選びましょう。仲介手数料の相場は、10～20％程度です。非公開としているところも多いため、気になる場合は問い合わせてみてください。

④業務スタイルに合わせて選ぶ

Webディレクター向けのフリーランスエージェントを選ぶ際は、自分の業務スタイルに合う案件が多く掲載されているところを選びましょう。例えば、在宅での仕事を希望している場合は、「リモートワーク可」としている案件が多いエージェントがおすすめです。

また、オフィスに出社して仕事をする場合には、通える範囲内が勤務地として指定されている案件があるかどうか確認してください。あまりにも遠い場所だと通えなかったり、通勤に時間がかかって効率よく稼げなかったりする可能性があります。しっかりと収入をアップさせるためにも、自分に合う業務スタイルの案件があるか必ず確認しましょう。

⑤サポート体制を確認

フリーランスエージェントには、以下のような主にサポートがあります。

・条件交渉サポート
・継続サポート
・業務委託契約の手続きサポート
・税務サポート
・キャリアサポート
・福利厚生サポート

用意されているサポートは選ぶエージェントによって異なりますが、特に案件の継続サポートをしてくれるところがおすすめです。参画しているプロジェクトが終了しそうな場合、継続して仕事ができるようにサポートしてくれます。クライアント企業と継続して契約できれば、お互いに信頼関係が築けるため、パフォーマンスの高い仕事ができるでしょう。

また、福利厚生サポートやフリーランス独自の悩みを聞いてくれる環境が整っていると、安心して働くことができます。

⑥支払日や支払いシステムをチェック

フリーランスエージェントの利用には仲介手数料がかかりますが、手数料の支払い方法は大きく分けて「前払い型」と「後払い型」の2種類があります。前払い型はクライアント企業が支払う報酬から、仲介手数料を引いた金額がフリーランス人材に支払われるシステムです。

一方、後払い型はクライアント企業が支払う報酬を全額フリーランス人材が受け取り、後から手数料を支払います。仲介手数料の支払いタイミングなどにより、使いやすさが変わってくるケースもあるため、支払い日や支払いシステムは必ず事前に確認しておきましょう。

⑦利便性で選ぶ

フリーランスエージェントを選ぶ際のポイントはたくさんありますが、何よりも自分が使いやすいものを選ぶのがおすすめです。サイトやシステムが使いにくいとストレスになり、スムーズに案件を獲得することができません。エージェントを選ぶ際は相性も大切なので、自分が使いやすいと思えるかどうかをチェックしましょう。

また、サイトの見やすさに注目して選ぶのもおすすめです。案件を探しやすいサイト、応募しやすいサイトは使い勝手が良く、効率よく案件を獲得できます。

Webディレクターがフリーランスエージェントを使うメリット

Webディレクターが、フリーランスエージェントを使うメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

・営業や契約を代行してくれる
・自分に合う案件を探して紹介してくれる
・業務サポートを受けられる
・案件継続のサポート体制が整っている
・悩みを相談できる
・福利厚生サポートがある

それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。

営業や契約を代行してくれる

Webディレクターが、フリーランスエージェントを使う際の大きなメリットとして、営業や契約を代行してくれる点が挙げられます。通常、フリーランスとして契約を取る場合には、営業や契約は自身で行わなければなりません。

しかし、フリーランスエージェントを利用する場合には、クライアント企業とのやり取りや契約を代行してもらえます。そのため、営業スキルのない方でも優良なクライアント企業から契約を取ることが可能です。中には、クライアント企業との面接に同行してくれるエージェントもあるため、契約に不安を感じている方でも安心して利用できます。

自分に合う案件を探して紹介してくれる

フリーランスエージェントでは、それぞれのフリーランス人材に合う案件を探し、紹介してくれます。クライアント企業に自分を売り込んでもらうことができれば、スキルや経験に合った契約を獲得できるでしょう。

自分で探す手間がないほか、スキルに合うものなら見合う対価がもらえるのもメリットです。「実力が足りずに業務をこなせない」「案件単価が低い」といった悩みが出ることも少なく、効率よく稼ぐことができます。

業務サポートを受けられる

フリーランスのWebディレクターは、基本的に自分で仕事をこなしますが、エージェントを利用する場合は業務サポートを受けられます。業務に関する不安や心配事があっても、エージェントに相談することで円滑に仕事を進められるでしょう。

業務サポートの有無や内容については、利用するフリーランスエージェントによって異なります。オプションとして用意されているケースもあるため、手厚いサポートを受けたい場合は事前に確認しておくのがおすすめです。

案件継続のサポート体制が整っている

フリーランスエージェントの多くは、案件継続のためのサポート体制が整っています。案件をこなして終了ではなく、契約を継続してもらえるようにサポートしてくれるのが大きなメリットです。継続して案件を取ることができれば、給与の安定にもつながるでしょう。

業務サポートと同様、受けられるサポートは選ぶフリーランスエージェントによって異なります。継続サポートに重点を置きたい場合は、利用料なども含めて角印しておくのがおすすめです。

悩みを相談できる

フリーランスは単体で仕事をするケースが多く、何か悩みがあっても相談する先がありません。しかし、フリーランスエージェントの中には、フリーランス特有の悩みを聞いてくれるようなサポートがついたものもあります。

相談サポートのついたフリーランスエージェントであれば、業務や契約に関する悩みを聞いてもらうことが可能です。気持ちの負担が軽くなれば、業務に集中できるでしょう。

福利厚生サポートがある

基本、フリーランスは福利厚生がありませんが、フリーランスエージェントを利用すればサポートを受けられる可能性があります。交通費のサポートがあったり、提携している施設をお得に利用できたりと、さまざまなサポートを受けられるのが魅力です。

フリーランスエージェントのデメリットは？

フリーランスエージェントのデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

・仲介手数料がかかる
・契約までに時間がかかるケースが多い
・一定のコミュニケーションは必要になる
・必ず契約が取れるとは限らない

仲介手数料がかかる

フリーランスエージェントの利用には、仲介手数料がかかります。仲介手数料の相場は、10～20％程度です。支払い方法については、後払いと先払いの2つのタイプに分けられるため、あわせて確認しておくと良いでしょう。

フリーランスエージェントは仲介手数料がかかる分、直接クライアント企業と契約を結ぶよりも報酬が低くなる傾向です。ただし、その分だけ手厚いサポートが受けられるため、メリットとデメリットの両方を加味した上で利用を検討しましょう。

契約までに時間がかかるケースが多い

契約獲得までには、エージェントとクライアント企業の間にやり取りが生じます。そのため、登録したからといってすぐに契約が獲得できるわけではありません。契約までには一定の時間がかかると覚えておきましょう。

早く仕事をはじめたい場合には、プロジェクトのスタート時期が近い案件を選ぶなど、工夫をしながら契約を取るのがおすすめです。

一定のコミュニケーションは必要になる

フリーランスエージェントでは、営業や契約の一部をサポートしてくれますが、一定のコミュニケーションは必要です。契約後のクライアント企業との連絡、業務中の報告などは自身で行うケースが多く、コミュニケーション能力がない場合は苦労する可能性があります。

最低限のビジネスマナーは身につけておき、クライアント企業とのやり取りが必要になった際、焦らず対応できる体制を整えておきましょう。

必ず契約が取れるとは限らない

フリーランスエージェントに登録したからといって、必ず契約が獲得できるわけではありません。当然、スキルや能力がなければ契約は獲得できず、収入アップは見込めないでしょう。しっかりと稼ぐためには、スキルアップを目指したり、実績を積んだりしながら努力を重ねる必要があります。

効果的にフリーランスエージェントを活用する方法

効果的にフリーランスエージェントを活用するためには、複数のサービスに登録するのがおすすめです。また、常に新規案件をチェックする必要があります。以下で、詳しい内容を見ていきましょう。

複数のサービスに登録する

フリーランスエージェントには、さまざまな種類があります。選ぶサービスによって得意としている分野、掲載している案件などが異なるため、複数のサービスに登録して自分に合った案件を探すのがおすすめです。

複数のサービスを利用する際は、やり取りや契約内容が混同しないように注意しましょう。内容が混同すると、クライアント企業に迷惑をかける可能性があります。

常に新規案件をチェックする

フリーランスエージェントに登録した後は、常に新規案件をチェックしましょう。せっかく登録しても、放置するだけでは仕事は獲得できません。常に新規案件をチェックしながら、自分に合う案件がないか確認することが大切です。

基本的に、掲載されている案件は毎日更新されています。日々、欠かさずチェックをしておくと、優良なクライアント企業との契約を獲得しやすくなるでしょう。

フリーランスのWebディレクターの将来性

Webの需要は今後も伸び続けると考えられるため、Webディレクションの仕事自体はなくならないと考えられます。ただし、Webの技術やトレンドの変化に迅速に対応できるスキルや、クライアントのニーズを的確に把握して、最適なWebサイトやWebサービスを提案できる能力が求められるようになるでしょう。

また、AIの進化によってWebサイトやWebサービスの制作、運用の自動化が進む可能性があります。すべての業務が代替されるわけではありませんが、継続して契約を取るためにはスキルアップが欠かせません。常にアンテナを張り、最新のWeb技術やトレンドを把握しておくことが大切です。

フリーランスのWebディレクターが目指せる年収

フリーランスのWebディレクターが目指せる年収とともに、目安となる案件単価などを紹介します。ぜひ、あわせて参考にしてください。

1000万円以上も目指せる

フリーランスのWebディレクターであれば、1000万円以上の年収も十分に目指せます。単価の高い案件で効率よく稼ぐことができれば、会社員として働くよりも高い年収を得られる可能性があります。努力次第で上を目指せるのは、フリーランスの大きなメリットと言えるでしょう。

ただし、フリーランスは仕事を獲得できない場合もあり、注意が必要です。努力を重ね、スキルアップを目指さなければ高収入は狙えません。

案件単価は50～70万円程度

フリーランスエージェントなどに掲載されている、Webディレクターの案件単価は、50～70万円程度です。最低ラインは20万円程度ですが、案件の難易度や業務内容によって単価は大きく異なります。

単価が高いからといって安易に手を出さず、自分のスキルや能力に見合っているか必ず確認しましょう。高単価の案件を獲得しても、実力不足では業務を遂行できません。途中で契約を切られることも考えられるため、十分に注意してください。

Webディレクターが収入を上げるコツ

Webディレクターが収入を上げるには、優良なクライアント企業と業務委託契約を結び、効率よく業務をこなす必要があります。また、以下のポイントにも注目しながら、収入アップを目指してみてください。

実績を積む

フリーランスエージェントを利用する場合、スキルや実績がなければ良い仕事は紹介してもらえません。実績がない場合には、クラウドソーシングサイトなどを併用しながら、実績を作る必要があります。

Webディレクターの実績として有効なのは、明確な数字です。ディレクションを行ったサイト・サービス・アプリなどのPV数や集客数、顧客満足度や売上といった内容が記載できれば、しっかりと自分の実力をアピールできます。参画したプロジェクトで、どのような働きをしていたのかもあわせて記載しておくのがおすすめです。

上流工程に携わる案件をこなす

Webディレクターは業務の幅が広いのが特徴ですが、中でも上流工程に携わる案件については、単価が高い傾向にあります。主に、以下のような工程に携われると単価が上がりやすいでしょう。

・要件定義
・機能定義
・構成管理
・計画立案

上流工程をこなすためには、豊富な知識やコミュニケーション能力、ヒアリング能力が求められます。高いスキルと豊富な経験が必要な上流工程に携わることができれば、おのずと収入アップにつながるでしょう。

Webプロデューサーを目指す

Webディレクターとして、さらなる活躍を目指す場合には、Webプロデューサーを目指すのも一つの手です。Webプロデューサーは、Webサイトの企画立案・制作・運用などを含めたプロジェクト全体の責任者を指します。

簡単に言えば、WebディレクターはWebプロデューサーの下について業務をこなすため、Webプロデューサーになると一段階ステップアップできます。さらに多くのチームメンバーをまとめ上げ、全体を把握しておく必要があるため、Webディレクターよりも豊富な知識と経験が必要です。

Webプランナーを目指す

Webプロデューサー以外にも、Webプランナーを目指すことで収入アップを狙う方法もあります。Webプランナーは、クライアントから希望や要望を聞き、内容をまとめながら全体的な企画設計を行う仕事です。

Webディレクターと比較すると、設計の部分に多く携わる傾向にあります。WebディレクターとWebプランナー、両方の仕事をこなすことができれば、業務の幅が広がるでしょう。その結果、仕事が獲得しやすくなり、安定した契約を獲得できる可能性が高まります。

エージェントと相談しながらクライアント企業を探す

フリーランスエージェントを利用する場合は、定期的にエージェントと相談しながら自分に合うクライアント企業を探しましょう。基本的には、案件をこなしていくうちに実績や経験が積まれていき、より難易度の高い案件を狙えるようになります。

登録したばかりの情報のままだと、新しい仕事を獲得できるチャンスが減るため、定期的に相談を入れることが大切です。常に自分の現状を把握してもらい、スキルや能力に合った案件を紹介してもらいましょう。
フリーランスエージェン

フリーランスエージェントで効率よく契約を獲得しよう

Webディレクターの業務内容は多岐に渡り、自分のスキルに合った仕事を獲得するのはなかなか難しいものです。しかし、フリーランスエージェントでは個々のスキルや実績を把握し、それぞれに合わせた案件を紹介してくれます。そのため、自分の実力を最大限に活かすことができ、効率の良い仕事ができるようになるでしょう。

また、継続サポートなどを利用すれば、安定した仕事を得ることも可能です。営業や契約も代行してくれるため、自分で仕事を獲得するのが難しい方にも向いています。ぜひ本記事を参考に、フリーランスエージェントを活用してみてください。