フリーランスのWebディレクターとして活躍するには？
働き方や業務委託契約のメリットも解説

プロジェクトの進行に欠かせないWebディレクターですが、近年では人材不足が深刻化しています。そのため、フリーランスのWebディレクターを探す企業も増加傾向です。このような背景から、フリーランスのWebディレクターは需要が高いと考えられます。

しかし、上手く仕事を獲得するためにはコツやポイントが必要です。そこで今回は、フリーランスのWebディレクターや働き方、業務委託契約のメリットを紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

フリーランスのWebディレクターとは

WebディレクターはWebサイトの企画立案・制作・運用の責任を負う仕事ですが、フリーランスにおいては会社に所属せずに自由に働くことができます。自分の裁量で仕事のスケジュールを立てられるため、仕事の量や給与を調整しやすいのが最大のメリットです。

ただし、フリーランスのWebディレクターは幅広い知識や技術が求められます。デザインやSEOなど豊富な知識がなければ、プロジェクトメンバーをまとめることはできません。Webサイトの制作や運用を円滑に進めていくためには、適応能力や調整能力も必要です。幅広い知識を身につけられると、フリーランスとして活躍できるでしょう。

働き方としては、業務委託契約で仕事を獲得する方法が一般的です。同時に複数社と契約を交わすこともできるため、いろいろな働き方ができます。

Webディレクターはやめとけと言われる理由

Webディレクターの仕事に関しては、「やめとけ」などと言われるケースもあります。ここでは、Webディレクターはやめとけと言われる理由をまとめました。フリーランスにとってはチャンスとなるものもあるため、ぜひ参考にしてみてください。

人手不足が深刻化している

Webディレクターにおいては、企業の人手不足が深刻化していると言われています。会社に所属しているWebディレクターの場合には仕事に追われ、忙しい毎日を送らなければならない可能性もあるでしょう。しかし、フリーランスのWebディレクターにとって人手不足はチャンスです。

人手不足に陥った企業は外部のWebディレクターを頼る可能性があるため、仕事を取りやすくなります。必ず仕事が獲得できるわけではないため、常に自分のスキルや能力を磨きながら良い仕事が取れるように努力することが大切です。企業も「外注するならレベルの高い人材」と考える傾向にあるため、契約して貰えるような体制を整えましょう。

納期に追われる

Webサイトの企画立案・制作・運用は納期厳守であるケースが多く、Webディレクターは常に納期に追われることになります。納期に追われながら仕事をこなしていくことに対し、辛いと感じてしまう方もいるでしょう。しかし、フリーランスのWebディレクターは自分で調整しながら働けるのがメリットです。

働き方次第では、自分の時間をしっかり確保しつつ安定した収入を目指せます。ただし、スケジュール管理は必須なため、納期を守れないような無理な契約は割けましょう。

下請けが多いため単価が安い

下請けの仕事が多く、単価を上げにくいのも「やめとけ」と言われる理由の1つです。Webディレクターは仕事量も多く、管理しなければならない情報もたくさんあるため、単価と仕事の大変さが見合わないと感じる方も多くいます。

しかし、フリーランスのWebディレクターにおいては、能力に合った仕事を自分で選んで受注可能です。能力やスキル次第では単価の高い仕事を積極的に狙うこともできます。実力次第で稼げる額が異なるため、上を目指したい場合はスキルを磨きましょう。

必要な知識量が多い

Webディレクターは、Webサイト制作プロジェクトの責任を負う仕事です。そのため、各分野の知識や技術に精通していなければならず、覚えることもたくさんあります。必要な知識量が多く、苦労しやすい点は大きなデメリットです。

ただし、専門知識のあるWebディレクターは少ないため、知識をつければ強みになります。企業はフリーランスに依頼する際、専門知識や技術のある人材を選ぶ傾向にあるため、何かに特化した知識や技術をつけると仕事を獲得しやすくなるでしょう。

業務委託契約のメリット・デメリット

業務委託契約とは企業から仕事を請け負い、その対価として報酬を受け取る契約です。多くのフリーランスは、企業と業務委託契約を交わした上で業務を開始します。ここでは、業務委託契約を結ぶメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット	デメリット
・自分の裁量で仕事ができる ・自分のスキルや経験を活かせる ・自由な働き方ができる ・独立心を養うことができる ・報酬アップを狙える	・自分の仕事に責任を持つ必要がある ・仕事が途切れてしまうリスクがある ・収入が不安定になる可能性がある ・社会保険や労働保険の加入義務がない

業務委託契約のメリットとして、自分の裁量で仕事ができる点が挙げられます。完全在宅で仕事を行う場合、好きな時間を使って働けるため、小さな子供がいる場合にもおすすめです。また、自分のスキルや経験を活かして報酬アップを狙うこともできます。専門知識や技術があれば、単価の高い仕事も獲得できるでしょう。

デメリットとしては、自分の仕事に責任を持つ必要がある点が挙げられます。基本的に途中で投げ出すことはできないため、最後まで責任を持って業務を遂行しなければなりません。常に仕事を獲得できるわけではなく、収入が不安定になりやすいのもデメリットの1つです。福利厚生もないため、自分で調整しながら働く必要があります。

フリーランスのWebディレクターの働き方

フリーランスのWebディレクターの働き方としては、エージェントを利用する方法や求人サイトを使う方法、自分で営業をかける方法などがあります。

エージェントを利用して仕事を獲得する

フリーランスが利用するエージェントとは、企業とフリーランスを繋ぐ仲介役となってくれるサービスです。自分で営業するのが難しい場合や、スキルに合った仕事を探せないときはエージェントの利用を検討しましょう。営業から契約締結までを代行してくれるため、自分にピッタリの仕事を探せます。

ただし、エージェントは利用料が高い場合もあるため、しっかりチェックしてから使うのがおすすめです。どこまでサポートしてくれるか、月額料金はいくらかなどを確認してから利用を検討してみてください。

フリーランス向け求人サイトを利用する

フリーランスのWebディレクターの働き方として、求人サイトを利用する方法もあります。求人サイトを利用する場合には、フリーランス向けのものがおすすめです。一般的な求人サイトには会社員向けの求人が多く掲載されているため、できるだけフリーランスに特化したものを選びましょう。

ITエンジニア系の仕事を多く扱う求人サイトなら、Webディレクターの求人も多く掲載されています。自分が目指しているものや求めている仕事内容にあわせ、サイトを選定してみてください。また、そのほかにクラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサイトを利用する方法もありますが、こちらは初心者向けです。

自分で営業をかける

SNSを使ったり、以前の仕事仲間に声をかけたりして営業をかける方法もあります。企業のSNSをチェックして求人を探すほか、自分のアカウントを作成してフリーランスであることをアピールする方法も有効です。SNSで人脈を作っておけば、思わぬところから依頼が入ってくる可能性もあります。

自分で営業をかける場合には、以前の仕事仲間やクライアントに声をかけてみましょう。公式サイトなどで求人募集をしている企業もあるため、こまめにチェックしながら応募してみるのもおすすめです。

フリーランスのWebディレクターの案件単価

フリーランスのWebディレクターの案件単価は、比較的高いとされています。ここでは、月収相場と共に未経験可の案件について見ていきましょう。

月収相場は50～60万円前後

フリーランスのWebディレクターの月収相場は、50～60万円程度です。比較的高額な月収相場ですが、報酬の記載方法は求人によって異なるため、応募前に細かく確認しましょう。常駐で働く場合には、「プロジェクト完了時」もしくは「月収」で報酬を決めている企業が多い印象です。

求人の内容や業務内容によって単価は大きく異なるため、収入アップを目指したい場合は慎重に検討しましょう。月収相場だけでなく、契約内容や契約期間にも注目しながら選ぶのがおすすめです。

「未経験可」は低単価

フリーランスのWebディレクターの案件の中でも、「未経験可」としているものは単価が低い印象です。未経験可としている案件は、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサイトに多く掲載されています。

フリーランスとしての経験や実績を積みたいならアリですが、収入アップは望めません。ある程度の実績を積んだ後は、高単価の案件にチャレンジしましょう。

フリーランスのWebディレクターが求められるもの

フリーランスのWebディレクターは会社員と違い、さまざまなものが求められる傾向です。ここでは、企業がフリーランスのWebディレクターに求めているものを解説します。

リーダーシップ

Webディレクターはプロジェクトメンバーをまとめる必要があるため、リーダーシップがあるかどうかは重要なポイントです。プロジェクトの目標を明確にし、チームをその方向へ導いていく能力が求められます。偉そうにしていれば良いわけではなく、チームからの信頼を得なければなりません。

信頼のないリーダーでは、ついていきたいと思って貰えないため、プロジェクトが円滑に進まない可能性があります。企業に信頼して貰うのはもちろん、チームのメンバーから信頼されるような人材を目指しましょう。

マネジメント能力

フリーランスのWebディレクターは、経営に関するスキルやマネジメント能力も求められます。マネジメント能力とは、組織の目標を達成するために、人材・資金・情報・設備などの経営資源を効率的に活用する能力です。取引先とのコミュニケーション能力なども、マネジメント能力の1つとなります。

自分の意見やプロジェクトの方針を言語化し、チームメンバーに伝えることができれば業務を円滑に進められるでしょう。ただ、意見を押し付けるだけにならないように注意してください。

ディレクション能力

Webディレクターには、ディレクション能力も必要です。ディレクション（direction）には、「方向」「方角」などの意味があり、ディレクション能力は方向を決めて導く能力のことを指します。プロジェクトの進行方向を定め、チームメンバーに共有しつつバランスを取りながら進めることがディレクション能力です。

また、全体をまとめるだけでなく、それぞれの業務への理解も求められます。デザインやプログラミングなど、各工程の理解を深めましょう。幅広い業務を理解していなければ、チームを統率することはできません。専門的な作業までこなす必要はありませんが、細かな作業ができる程度の技術は身につけておくのがおすすめです。

交渉・提案力

フリーランスとして活躍していくためには、言われたことをやるだけでなく、自身で提案できる力も必要です。クライアントの要望を汲み取るのはもちろんですが、より良いアイディアを提案できると信頼度のアップに繋がります。

また、予算やスケジュールなど交渉が必要な場面も多いため、交渉力も身につけておきましょう。取引先との交渉をスムーズに進められると、プロジェクトも予定通りに進みやすくなります。

調整力

プロジェクトの進行中は、何が起こってもおかしくありません。どこかの工程でトラブルが生じてスケジュールが乱れたり、取引先との交渉が上手くいかずに勧められなかったりすることもあるでしょう。そのような場合、臨機応変に対応できる能力があると、より円滑にプロジェクトを進められるようになります。

スケジュールだけでなく、予算なども上手く調整できる能力を身につけておくのがおすすめです。常に全体の流れに気を配り、微調整をしながらプロジェクトを進めていきましょう。

こまめな連絡

フリーランスのWebディレクターは在宅で働くことも多いため、こまめな連絡を心がけましょう。常にリアルタイムで返事をする必要がありませんが、最低でも「24時間以内」の返信を意識するのがおすすめです。急ぎの案件や納期の迫ったプロジェクトに至っては、できるだけ早く返事をしてください。

レスポンスが良いと「仕事が早い」「仕事ができる」などと思って貰える可能性が高くなります。連絡が遅いと信頼も得られないため、こまめな連絡を心がけましょう。また、あらかじめ連絡が取れない時間や日にちがある場合には、連絡しておくと親切です。

フリーランスを目指す際のポイント

フリーランスのWebディレクターを目指すためには経験を積み、さまざまなスキルや能力を身につける必要があります。以下で詳しく解説するので、参考にしてみてください。

3年以上の実務経験を積む

Webディレクターとしての知識を豊富に持っている場合でも、急にフリーランスとして活躍するのは難しいでしょう。会社などに就職し、3年程度の実務経験を積んだ上でフリーランスを目指すのがおすすめです。実務経験があれば、契約先の企業からの信頼も獲得しやすくなります。

また、実務経験でしか得られない経験や知識もあるため、経験を積むことは重要です。実際にプロジェクトを進行していくと自信もつくため、フリーランスとしての道を切り開きやすくなります。いろいろなプロジェクトを経験していく中で、実践的な技術やスキルを身につけましょう。

コミュニケーション能力を身につけておく

コミュニケーション能力はプロジェクトの進行に必要なほか、仕事を獲得する際にも必要です。契約先の企業と密なコミュニケーションを取ることで信頼を獲得できれば、継続した案件を受注できる可能性もあります。普段から人と話すようにするほか、正しい敬語や丁寧な言葉遣いを身につけましょう。

仕事を獲得する際には、企業とWeb面談などを行うケースもあります。第一印象は非常に大切なので、緊張せずに話ができるように練習をしておくのもおすすめです。コミュニケーション能力は回数をこなすことで身につくため、積極的に求人に応募しつつ担当者と話をする機会を作りましょう。

資格を取得する

企業から信頼を得る、実力をアピールするためには資格取得も必要です。企業側は一緒に仕事をするまで相手の実力が分からないため、実績や資格の有無などを確認した上で人材を選定することがあります。そのような場合、資格を持っていれば有利になるでしょう。Webディレクターにおすすめの資格としては、以下のようなものがあります。

・Web検定 Webリテラシー
・Web検定 Webディレクション
・Webクリエイター能力認定試験
・マーケティング・ビジネス実務検定
・Webライティング能力検定
・ネットマーケティング検定

このほかにも、さまざまな資格があります。なりたい自分を想像しながら、取得する資格を選定してみてください。

フリーランスのWebディレクターの仕事内容

フリーランスのWebディレクターはディレクションはもちろん、ほかのWebディレクター分担を補う役割として仕事をする場合もあります。ここでは、それぞれの仕事内容について見ていきましょう。

ディレクション

基本の業務はディレクションとなり、Webサイトなどのコンテンツを作成する際の責任者として業務をこなします。納期や予算などを細かく管理しながらプロジェクトを進行するのはもちろん、常に状況を把握しながら調整しなければなりません。品質管理や取引先との交渉、メンバーの業務監督もWebディレクターの仕事です。

Webディレクターはプロジェクトに欠かせない存在のため、スタートアップ企業などの場合はベテランのフリーランスに期待を寄せるケースもあります。業務内容が多岐に渡るため、フリーランスのWebディレクターは全体を見通す力やまとめる力などが必要です。

業務分担を補う役割

フリーランスのWebディレクターとしてディレクション業務を行うほか、既にいるWebディレクターの補佐として業務分担を補う役割を果たす場合もあるでしょう。例えば、社内にいるWebディレクターが専門知識にかけている場合、不足している知識を補うためにフリーランスのWebディレクターを雇うことがあります。

Webディレクターにはそれぞれ得意・不得意があるため、専門知識に強いフリーランスを部分的に利用するケースが多い傾向です。そのため、専門知識のあるWebディレクターや一部の業務に特化した人材は仕事を獲得できる可能性が高くなります。そのような案件は単価も良い傾向にあるため、自分の得意分野を伸ばしておくのもおすすめです。

フリーランスのWebディレクターとして働くメリット

フリーランスのWebディレクターとして働くと、さまざまなスキルや能力を身につけられます。また、年収アップを狙えるのも大きなメリットです。

幅広いスキルを身につけられる

フリーランスのWebディレクターは会社員より濃い経験をできる傾向にあり、幅広いスキルを身につけられるのが大きなメリットです。任せて貰える仕事が増えたり、理解できることが増えたりすれば自信にも繋がるでしょう。

フリーランスとして経験を積むことで幅広い知識を身につけられると、どんどん単価の良い仕事が獲得できるようになります。会社員では経験できない仕事を数多くこなし、能力のアップを目指しましょう。

技術とビジネス両方を理解できる

フリーランスは企業相手に仕事をするため、クライアントとの付き合いも増え、戦略や企画立案にも携われる可能性もあります。会社員の場合にはWebディレクターとしての仕事に限って業務を行うケースが多い一方、フリーランスの場合はさまざまなことを経験できるのがメリットです。

経営者と関わったり話をしたりする機会もあるため、経営者側の考えや意見を聞くこともできます。さまざまな仕事をこなすことで、幅広い知識やスキルも身につくでしょう。

年収アップを狙える

フリーランスのWebディレクターとして働くメリットとして、年収アップを狙える点も挙げられます。働き始めたときは会社員より収入が下がることもありますが、継続して仕事を獲得していくうちに年収がアップしていくでしょう。

ただし、年収をアップさせるためには経験を積んだり資格を取得したりしながら、スキルアップを目指す必要があります。より単価の高い案件を狙うためにも、努力を欠かさないようにしましょう。

上流工程に携われる

事業戦略や企画のような上流工程に携われる機会があるのもメリットの1つです。普段は携わるような機会がない上流工程に関わることで、より多くの知識やスキルを身につけられます。結果として、仕事を獲得しやすい環境を作れるでしょう。

フリーランスのWebディレクターは需要あり

今回は、フリーランスのWebディレクターの働き方や業務委託契約のメリット・デメリットを紹介しました。企業においてはWebディレクターの人材不足が懸念されているものの、フリーランスのWebディレクターは今後も需要が高まると考えられています。

フリーランスとして活躍できるようになれば、年収のアップも期待できるでしょう。また、自由な働き方ができるため、プライベートな時間が充実しやすくなるのもメリットです。ぜひ本記事の内容を参考にしながら、フリーランスのWebディレクターとしての道を切り開いてみましょう。